人生が変わったスペイン巡礼

今までいろんな国へ旅行しましたが、 一番タフだった旅は間違いなくスペイン巡礼。スペインへ留学中の友人から「人生変わるよ!」と誘われて、日本からひとりでスペインへ 行ってきました。当時の私は、漠然と「人生このままでいいのかな?」と悶々と過ごしていました。そんな時にスペインに住む友達から「巡礼したら人生変わるよ!」と言われて、「よーし、やってみるか!」とチャレンジすることに。
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巡礼とは
年間20万人もの人が、キリスト教の三大聖地のひとつ、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼路。
巡礼する手段は、
・徒歩
・自転車
・馬
があります。
友達から聞いた時「え、馬?!」と聞き直した。馬に乗って巡礼する人もいるんだって。遭遇したら面白そうだな、と期待したのですが、全く見かけませんでした。
私たちはオーレンセからサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指しました。巡礼路は複数あって、
「フランス人の道」
「ポルトガル人の道」
「イギリス人の道」
などがあります。
今回、一緒に巡礼するメンバーは、スペイン留学中の3人+日本から来た私の4人です。

出発前にハンバーガーを食べて腹ごしらえ。持っているのが巡礼手帳。宿やバル、教会に寄ったらこの巡礼手帳にスタンプを押してくれます。スタンプラリーみたいな感じでゴールを目指します。


ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラはここ。スペイン北部にある街です。
黄色の矢印に沿って歩く
スペイン巡礼では「黄色の矢印」or 「貝殻マーク」が指す方向に向かって歩きます。黄色の矢印に従って歩くと、ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラに辿り着きます。ホタテ貝は巡礼者のトレードマークで、その理由は諸説あり聖ヤコブ(サンティアゴ)が持つ杖にホタテ貝が付いていたからだとか。
これが貝殻マーク。貝が向いている方向に進みます。下記の写真だと「右に歩け」という意味です。


私たちはこの貝マークを頼りに歩きましたが、他の巡礼者にその話をしたら「ふつうはちゃんと地図を見ながら歩くんだよ!」とドン引きされました。
遭難するかもしれないので、スペイン巡礼をする人は地図を持って歩いてくださいね。

天候が変わりやすくて晴れたり雨が降ったり。レインコートを途中で購入しました。
雨が降ってきてもすぐ止むと思って我慢 ➡︎ 止まないから仕方なくレインコートを着る ➡︎ 晴れるってのを何回も繰り返して、「もうなんなのよ!」って半ギレしながら歩いた。山の天気はコロコロ変わって大変です。

人間より動物に出会う回数が多い
山を越え、谷を越え、時に野犬と戦いながら歩く。
友達から巡礼の説明をしてもらったときに言われたフレーズです。
てっきりハイキングに行くくらいのテンションでいたので、これを聞いた時はびっくりしたし、そんなに大変なの?とびっくりしました。で、やってみて実際どうだったかと言うと、おおむね正解。びっくりするくらい誰も会わない。飼育されている馬、やぎ、犬などの動物に出会う回数の方が多かったです。野犬にも途中で遭遇しましたがおとなしかったので戦わずに済みました。


アルベルゲで宿泊
巡礼中はアルベルゲに泊まりました。アルベルゲとは、巡礼者のための宿泊施設で、当時は1泊5ユーロでした。
室内には二段ベットが並んでいて、ハイシーズンには巡礼者でいっぱいになるそうです。
ベットの上に寝袋を敷いて就寝します。4月に巡礼したのですが、4月と言ってもスペインは冬のような寒さ。
アルベルゲにはエアコンがついていないので、寒すぎて朝方に起きてしまいました。足が凍ったのかと思ったくらい寒かった!冷凍庫で寝てるみたいでした。

シャワーはお湯が出るけど、タンクの中のお湯がなくなったら水が出てくるシステム。日本の感覚だとありえないって思うけどスペインの地方だとよくあるみたいです。いつお湯から水に切り替わるかわからないので、毎回ハラハラしながらシャワーを浴びてました。気温は低いし、シャワーは水だし、さすが巡礼。修行している感じがします。
洗濯物は手洗いをして、リュックや棒に吊るして歩きながら乾かす日々を送っていました。この旅でサバイバル能力が高くなった気がする。

巡礼中のごはん
巡礼の食事はほぼ毎日、「ボカディージョ(サンドイッチ)」でした。朝ごはんでカフェに寄って、食べきれないからテイクアウトして、ランチかおやつで残りを食べるって感じ。腹が減っては戦はできぬなので、ナッツやチョコなど何かしらの食べ物をリュックに常備。
「せっかくスペインに来たのにボカディージョしか食べてないよね!」って笑い話になるくらい、本当にボカディージョしか食べていない。

疲れて糖分を欲していたのもあってか、ももジュースがおいしくて感動。カフェでいつも頼んでたから、「ももジュースください」をスペイン語で言えるようになったよ。
仲間との出会い
5日間かけて120km歩きました。私たちのグループは歩くのが遅いので、いつも誰かに追い越されます。笑
その追い越していったグループと宿泊施設が同じという日が度々あって、顔見知りに。その中のメンバーでウクレレを持ち歩いているオーストラリア人がいて、私たちは「ウクレレ野郎」とあだ名を付けました。ただでさえ食料とか寝袋で荷物が多いのに、彼はウクレレを持ってきててすごいな。

夜はみんなで一緒にお酒を飲んで、ウクレレ野郎の演奏で「Stand By Me」を歌いました。世界各国からたまたま同じ時期に巡礼して、たまたま同じ街に泊まる。旅っぽくて楽しい。みんなで歌った「Stand By Me」は今でも忘れられない思い出です。
アルベルゲにはメッセージ、名前、宿泊日を書けるスペースがあったので、私たちの名前と日付も残してきました。

セットされたテーブルに嬉し泣き
レストランに行った時、テーブルがセットされてて嬉しすぎて泣いたの。先ほどお伝えした通り、巡礼中の主食はサンドイッチ。「いい加減飽きたよね」って言いながらみんなでサンドイッチ食べ続けたのですが、過酷な日々を過ごしていた4日目、ついにおしゃれなレストランへ行くことに。
レストランに入ると、 そこにはテーブルにきちんとセットされた食器やグラスが・・・!感動のあまり、私たちは涙しました。


そんなことで?と思うかもしれませんが、これまでの旅のハイライトはこちら。
・毎日20km歩く
・全身筋肉痛
・ご飯はボカディージョ(サンドイッチ)
・冬なのにシャワーは水
・夜中に寒さで起きる
この環境、なかなかキツくない?過酷な数日間を過ごしてしていたので、この”テーブルがきちんとセットされていること”が本当に嬉しくて。暖かい部屋、お湯の出るシャワーが当たり前だと思っていましたが、そうではなかった!
今までどれほど恵まれた環境にいたかわかりました。当たり前のことを当たり前と思ってはいけないんだな。この日はレストランで美味しいご飯をたくさん食べて、体力・気力が回復しました。
翌日が巡礼最終日なので、あともう一踏ん張り。
筋肉痛になった?
初日からバキバキの筋肉痛になりました!毎日20〜30km歩いていたので、足が棒のようになりました。たった5日間だったけど、顔がシュッとした。笑 筋肉痛もあるし、靴擦れもするし大変でした。友達はスニーカーをハサミで切って、歩きやすいように改造していました。全身痛すぎて、ベットから起き上がるのも一苦労。
でもね、不思議なことに”歩く”のはそれほど痛くなくて、座ったりかがんだりと”歩く”以外の筋肉の使い方をするとめちゃくちゃ痛い!皮肉なことに歩いているときが1番ラクでした。
ついに最終日!嬉しいような寂しいような

ついに巡礼最終日!ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで一気に歩きます。
「このメンバーで歩くのは今日が最後かぁ。
疲れたからやっと終わって嬉しいけど、なんか寂しいね。みんなでもう少し歩きたいね。」
と話しながら最終日がスタート。
「いや、私は早く終わりたい。1人でやってなよ。」とか言う人もいたりして、ざっくばらんに話せるこのメンバー、最高でした。
そして夕方頃にゴールに到着!!その足で、巡礼達成の賞状をもらいに窓口へ行ってきました。巡礼中に杖にしていた棒を大事そうに持ちながら記念撮影。5日間の旅を共にした大事な相棒。(愛着が湧きすぎて、スタート地点のサラマンカまで持って帰りました。)

サンティアゴ・デ・コンポステーラを観光して、みんなで「➡︎」のTシャツをゲット!

夜ご飯を食べに行って、帰り道にライトアップされたサンティアゴ・デ・コンポステーラへ。雨が降った後だったので、街がキラキラしてとっても綺麗だったよ。


巡礼中はほぼ水シャワーだったのですが、なんと最終日のお宿ではお湯が使い放題だったの!今までは、タンクのお湯がいつ水に切り替わるかヒヤヒヤしながらシャワーを浴びていたのんで、5日ぶりにゆっくりシャワーを浴びることができて感動しました。
お湯が出てくることがこんなにも幸せだとは。シャワー後にみんなに会ったら、同じようにお湯を使えたことに感動してました。 巡礼の効果ってすごい。
ミサに参加
翌日はミサへ参加するために朝からサンティアゴ・デ・コンポステーラへ。

ミサでは巡礼した人の名前と国名を呼んでもらえます。スペインで「Ayano,Japan」と呼ばれるのかなとワクワクして耳を澄ましていたけど、なぜか誰の名前も呼ばれずに終わりました。ひとつ気がかりだったのは、途中で咳き込んだ人がいたこと・・・。名前を呼ばれてないぞ?!と思って、巡礼中に顔馴染みになった人に聞いたら、「みんなの名前、呼ばれていたよ。」とのこと。おそらく誰かが咳き込んでいたときに、私たちの名前が呼ばれていたのです。
あんなにがんばって歩いたのに!せっかくならミサで自分の名前を聞きたかった〜とみんなでブーブー言ってミサを終えました。笑


ミサの後は巡礼で仲良くなった人たちと一緒にランチ。やっとスペインらしい、おいしいご飯を食べたよ。サンティアゴ・デ・コンポステーラは海が近いのでシーフードが名物。
さいごに
ランチをした後は、友達の住む街サラマンカへ帰ります。濃厚な5日間を送ったなぁ。
現実はなかなか残酷なものでして、バスに乗って約1時間で出発地点に戻りました。5日かけて120km歩いて、バスに乗って1時間で帰る。なんとも言えない気持ちです。笑

スペイン巡礼ではサバイバル能力もついて、新しい自分に出会えた気がする。
意外とタフなことできるじゃん私、と自信がつきました。
巡礼前に友達から「巡礼をしたら人生変わるよ」と聞いていましたが、私はこの巡礼で「海外留学をして英語を話せるようになる」と決断できたので、本当に人生が変わりました。
”海外留学をする”と決断できた理由は、巡礼中に外国人と知り合っても私だけスペイン語が話せなくて、「じゃあ英語で」って英語で話しかけてくれたけど、私は英語すらまともに話せず・・・。この時に「せめて英語くらいは話せるようになりたい。」と思ったのです。本当にきつかったけど、一緒に巡礼したメンバーが最高だったから最後までがんばれました。
このスペイン旅行は一生忘れない大切な宝物になりました。
ではまた❤️
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